ラスロンGは本当に効きますか?
ラスロンGは本当に効きますか?
ラスロンGはバッテリーの充放電の際に反応活動が行われる添加剤ですから、充電ができるバッテリーであれば効果があります。
しかし、「バッテリーを100%治すことができるか」という問いには、簡単に「はい」とはお答えできないのです。その理由をご説明します。
バッテリーの「故障」には2種類あります。
サルフェーション生成によるバッテリー極板面の劣化に由来する劣化故障と、物理的要因(隔壁の破損、極板の割れ、脱落など)による故障です。
このうち、前者の故障が「寿命による故障」です。
この確率が、ほぼ不良の90%を占めます。ラスロンGを添加するだけでは、この「寿命による故障」をできるだけ遅らせるといった、中長期的視点を主とした添加剤です。
短期間で効果確認を望むような場合は、添加後に充放電を3回程度、繰り返す作業が必要になります。ラスロンGは充電時しか反応しません。
ここで、次のような事例を示してみます。
【処理】
6セル構成の自動車用バッテリーで、既に1セルが物理的に故障しているが、構わずラスロンGを全てのセルに投入して充電作業を行った。
【結果】
正常なセルは、電圧、比重とも復帰したが、1セル分(約2V)が不足したままの状態でセルを回すことができなかった。
この場合は、1セルの故障です。物理的故障はラスロンGで治りませんから、「このバッテリーはラスロンGによって復活した」とはいえません。
しかし、ラスロンGを添加した後、充電作業が行えたならば、反応活動が行われているはずですので、壊れた1セルを除いた他のセルは回復します。これはDC-60B等の有負荷測定機器によって簡単にわかります。
この事例において、「ラスロンGは本当に効いたのか?」という質問があったとすれば、これには「はい」とお答えできます。
「でもラスロンGを入れたのに治らなかったじゃないか!100%効くと言っていたのに!」という苦情があったとしたら、「物理的に壊れていなければ治せますが、物理的に壊れているものは無理なんですよ」とお答えするしかありません。
ここでのポイントは、「ラスロンGは100%効くが、必ずしも全ての不良バッテリーを100%治せるわけではない(添加しても治らないこともある=既に物理的に壊れている)」ということです。
*ラスロンGを添加する必要のない場合*
比重測定をすると各セルが新品と同じ比重があるにもかかわらず、力が出ないなど出力に異常が認められる場合、この場合は物理的故障を示唆しています。この様なバッテリーにラスロンGを添加しても、改善はほとんど望めません。