ラスロンGの基礎知識
はじめに
現在、地球上にはたくさんの乗用車、トラック、バス、タクシー、フォークリフト、ゴルフカート、各種船舶が使用されており、これらのすべてに鉛電池が使用されています。
世界の人口60億人のうち、乗用車、トラックを日常的に使っている米国、日本、西ヨーロッパの国々の人々は約6億人で世界人口の約10%です。
中国(12億人)、インド(7億人)、東南アジア(5億人)の人々がクルマ時代に入れば、2025年頃には自動車用鉛電池は現在の10倍にもなり、20兆円の大産業になります。
この大産業の鉛電池を完全にリサイクルすることは困難です。
そこで本添加剤(硫化還元剤)を使ってその電池寿命を2~3倍に延ばし、廃棄電池を 1/2~1/3 にすることで、21世紀の地球環境に大きく貢献できるのではないか?...これがラスロンGの根本となる考え方です。
ラスロンGは、効果が1年以上持続します。
年に1度、例えば鉛電池に水を補充する時などに一緒に添加するだけで、電池性能を復帰させ、極板環境を良い状態のまま維持できる点に最大の特長があります。
従来の市販品は、効果が2~3ヶ月程度と短期間のものが多く、年に複数回の添加作業が必要となるために必要以上の経費が掛かっていました。
これに対して、ラスロンGには効果の持続性があるので、1回の添加作業後、しばらくの間添加する必要がありません。
したがって、ラスロンGを知り、効率良い使用方法を実行しさえすれば、従来の市販品では実現できないメンテナンス費用の大幅なコスト削減を実現することが可能となります。
ラスロンGは、鉛電池の消費サイクル構造を変えていく意志がある方々に対して、自信を持っておすすめできる商品です。
私たちは、未来を真剣に考えて下さる方々にこの商品をお使い頂きたいと考えています。
ラスロンGとは何か
2-1.ラスロンGは鉛蓄電池専用のバッテリー添加剤です
ラスロンGは、鉛蓄電池専用のバッテリー添加剤です。
ただし、注入口の無いメンテナンスフリーバッテリーには使用できません。
注入口が塞がれていてラスロンGを添加することができないからです。
2-2.ラスロンGは化学的根拠に基づいた産業用バッテリー添加剤(硫化還元剤)です
ラスロンGは化学的根拠に基づいたバッテリー添加剤です。
元々は産業用として使用される目的で開発されたものなので、理論上、物理的故障以外の鉛バッテリーに対して100%効果があります。
ラスロンGの効果を確認する方法は簡単で、市販の測定器で容易に確認することができます。
鉛電池の状態にも拠るので断言はできませんが、「運転時間が長くなった」「駆動が強くなった」「ヘッドランプが明るくなった」等、効果が体感できることもあるようです。
同様の反応形式を用いた液剤を他社も製造・販売していますが、ラスロンGはいずれの他社製品と比べてもコスト・信頼性の面で最も優れています。
これは実際に使用することを通じて検証して頂けることものと思います。ラスロンGは、結晶性サルフェーションを鉛と硫酸に還元します。
PbSO4 → Pb + SO4 ・・・ 「Pb(鉛)は極板へ。SO4(硫酸)は電解液へ。」
→硫酸が固体の状態から液体に還元するので電解液の比重が復元します。
ラスロンGによってサルフェーションが剥がれ落ち、この剥がれ落ちたサルフェーションが鉛電池の底部に堆積する等ということはありません。
基本的に、ラスロンGの反応は極板周辺に劇的に変化をもたらす様な急激な反応ではないからです。
ただし、添加量を間違えるとバッテリー液とラスロンGが泡状になって吹きこぼれることがあります。これについては後ほど述べます。
2-3.ラスロンGは安全性の高い液剤です
ラスロンGは、中性、水溶性であり、透過性(透明)の液体で、多少の粘性を持ちます。
魚毒性は極めて低く、極低刺激性です。
ラスロンGには、衣服に穴を開けるような酸は持っていませんので、直接手指に触れても問題ありません。
また、そのまま廃棄しても微生物によって自然分解します。燃焼しても毒物を発生しません。
基本的には透明の液体ですが、識別の為に薄く着色している場合もあります。
この着色剤は自己崩壊性をもちますので、長期保存を経ると色素が薄くなる場合がありますが、効能が落ちるなどの影響は全くありません。
(暗所保存することで退色は抑えられます。)
2-4.ラスロンGは鉛電池の延命・再生に効果を発揮します
鉛電池は、理論上物理的に故障するまで使用することができます。
ラスロンGは鉛電池の極板に作用します。
反応に必要な充放電が可能な鉛電池なら、確実に効果が期待できます。
新品の在庫品であれば、ほぼ100%回復可能です。
在庫放電したもので1.5年程度経過したものにラスロンGを添加し、3サイクルの充放電で90%の容量まで回復します。
この後さらに使用することでほぼ完全に容量が復帰していきます。
現在使用中の鉛電池でも比較的新しい物(満充電時の各セル間の比重のバラつきが0.02以内の物が望ましい)であれば、ラスロンGを添加することで平均約2倍の寿命が期待できるようになります。
アワレイジが行った自社実験では、既に廃棄された鉛電池が使用可能レベルに復活したという例も多く見られました。
廃棄することなく救うことができる鉛電池は、私たちが考える以上に数多くあります。
2-5.ラスロンGは充電時にのみ反応活動を行います
ラスロンGは充電時にのみ反応します。
ラスロンGを使用して鉛電池修復作業を短期間で行いたい場合は、充電・放電を集中的に繰り返す作業が必要となります。
専門の作業機器(充電器・放電器・テスターなど)があれば大変便利です。
アワレイジは、操作性に優れた放電装置を低価格で提供するとともに、これらを用いた充放電作業に関する技術的サポートを行っています。
ただし、これらの作業機器をラスロンGに併せて強制的に販売するということは一切ありませんので、これらの機器類を必要とされる場合はお気軽にご相談下さい。
ラスロンGを使うとこうなる
3-1.新品バッテリーに使うと?
ラスロンGは、新品に近い時期から添加を始めれば始めるほど、極板の疲弊速度を最大限に遅らせます。
ラスロンGは、有効成分が電解液内に留まる限り還元反応を続行し、サルフェーションの固定化を防ぎます。
その結果極板の有効面積を維持し、電池内部抵抗の増大を極力抑えます。
鉛の枠と酸化鉛の間にサルフェーションを生成させないので、極板剥離による物理的故障に対して予防効果があります。
ラスロンGは、新品在庫品の性能劣化予防に最適です。
3-2.使用してしばらく経過したバッテリーに使うと?
使用してしばらく経過したバッテリーには、結晶化サルフェーション(結晶性不活性物質)が極板表面に生成しているのが普通です。
ラスロンGは、この結晶化サルフェーションを再溶解して極板環境を整え、バッテリーの寿命を延ばします。
ラスロンGを使用中のバッテリーに添加しても、問題なく効果を発揮します。
3-3.廃棄されるような古バッテリーに使うと?
ガソリンスタンドから廃棄バッテリーの提供を受け、ラスロンGの添加実験を行いました。
すると、使用可能となったバッテリーが数個現れました。
理論上は、正常な充放電を行うバッテリーなら100%ラスロンGの効果が期待できるのですが、使用可能なレベルにまで復元したものがおよそ30%もあったことには驚きました。
あとの70%は極板の割れなどの物理的故障を呈したものであり、復元不能でした。
従来なら捨てられてしまうようなものでも、ラスロンGがあれば復元できるものが少なからず存在するということが示された実験でした。
3-4.店頭在庫品のバッテリーに使うと?
新品バッテリーでも自然放電は常に行われています。
在庫が長期になると結晶性サルフェーションを生成します。
自然放電による極板劣化(有効面積の減少)を防ぐ意味でラスロンGを使うこともできます。
あるバッテリーメーカーの測定では、1.5年の店頭在庫バッテリーにラスロンGを添加後3回の充放電を行ったところ、容量が90%程度復帰したことが確認されました。
店頭在庫のものは極板の痛みが比較的少なく、ラスロンG処理後も問題なく販売することができます。
実際にそのような形で用いている業者もあります。
3-5.結局ラスロンGを使うとどうなるのか
「ラスロンGを使えば、バッテリーの寿命を延ばすことができる。」と断言できます。
ラスロンGを使用したバッテリーは、理論上劣化の原因が外部衝撃による部品傷の蓄積などの物理的劣化のみとなります。
特に、深い充放電を繰り返して使用する電気フォークリフトバッテリーや、EBシリーズ等の産業車両用バッテリーに対してラスロンGを使えば、より一層効果的な反応が行われます。
これは、容量が大きいバッテリーほど深い充放電を頻繁に繰り返すためで、充電時に最も効果的に反応するラスロンGにとって、この深い充放電が好都合となるためです。
ラスロンGの上手な使い方
4-1.添加量算出式とバッテリー容量(Ah)について
1セルあたりの標準添加量(cc)=0.08×バッテリー容量(Ah)
この計算式で求められた量が標準添加量です。バッテリー容量(Ah)が大きければ大きいほど、極板面積も大きくなります。
極板面積が大きいほどラスロンGも多く必要になるので、これらは比例関係にあります。0.08は、多数の実験から求められた定数です。
バッテリー容量の値は、バッテリーの上面の型式表示前側の数字がほぼ容量に近い値です。
この数字に0.08を乗じて、1セルあたりの標準添加量(cc)を求めます。
4-2.添加のしかた
上記の計算式で求めた標準添加量をバッテリーの各セル全てに添加します。
基本的には年1回の定期的な添加で十分です。
満充電時に規定比重まで戻らなくなった時に添加するのが理想的なタイミングですが、年1回の定期的な添加という比較的余裕を持った添加方法をおすすめしています。
満充電時の規定比重を管理するには細やかなチェックが必要となりますが、年1回と決めておけば細かいチェックが不要となるので、実務上最も適した方法です。
極板劣化が激しい場合は、標準添加量の半量を添加するようにして下さい。
「想定寿命期間に近い」「充電時の泡立ちが多い」「充電時バッテリーが熱い」「液の補充が多くなった」等の症例への対応も同様です。
極板劣化が激しいバッテリーは、ラスロンGの反応に際して発生する気泡の影響で電解液が泡状となりやすく、これが噴きこぼれる危険性があります。
このような事故を予防するために、極板劣化が激しいことが予想される場合には、標準添加量の半量だけを添加するという方法が安全です。
既に長期間使用しているバッテリーへ添加する場合や、劣化程度の判断がつかない場合には、まず半量添加を行って様子を見てみる方法をおすすめします。
半量添加を行った場合は、最初に添加した日から数えて三ヶ月ないし半年の期間をおいた後に残量を添加します。
次回からは全量添加できるように回復しています。
極板劣化が激しいバッテリーにも関わらず既に全量添加してしまい、泡が吹きこぼれてしまったという場合は、泡の発生を抑えるために充電電流そのものを少なくして下さい。
ラスロンGの反応が進み次第、泡も徐々に減少します。
4-3.効果の確認方法
1.ラスロンGを入れる前に、各セル全ての電解液の比重を測ります。
1年程度使用したか、バッテリー寿命の半分を過ぎたバッテリーは、満充電しても規定の比重に達しなくなっています。
(満充電時の比重1.28が普通です)
電解液の比重はなぜ下がるのか?
バッテリーは毎回放電すると比重が下がりますが、これは充電によって復帰します。
使用している間に結晶性サルフェーション(電解液中の硫酸が鉛と反応してできた白い結晶)が生成されます。
電解液中の硫酸分が鉛と反応して固体化し、結晶性サルフェーションとなります。
これは溶液中の硫酸分が減少していく意味もあります。
比重値は電解液の硫酸濃度を測定して示される値ですから、電解液中の硫酸濃度が下がったままになると比重も戻らないままとなります。
2.ラスロンGを添加して、2~3ヶ月使用します。
この頃には比重はある程度復帰しているはずです。
ラスロンGを入れて充電すると、不溶解性のサルフェーションが硫酸と鉛に還元するため、還元され電解液に戻された硫酸分だけ比重が復帰します。
3.使用後の比重を測ってみて下さい。
比重データを記録して添加前のものと比較します。すると明らかな差異が確認できるはずです。普通のバッテリーは満充電比重が1.28ですので、これを目安として回復程度を判断します。
比重が復帰すれば治ったといえるか?
必ずしもそうとは言えません。
ひとつの目安として比重の動きをみることをおすすめしています。
比重が復帰すれば治ったと言い切れない理由は、既に極板が割れているような場合でも比重が復帰してくるためです。
この場合は極板が割れてしまって極板面積が減っているわけですから、完全に治ったとは言えません。
このようなバッテリーは、使用可能時間が短くなっている場合が多いようです。
本来は当社で行っているような「放電テスト」をしてみなければ、バッテリーの現時点の状態は正確にはわかりません。
硫酸を入れたバッテリーには硫酸を入れると、バッテリーの比重が上がります。しかし、硫酸ではサルフェーションは溶解しません。
バッテリー液の比重だけを上げても、元の状態にはなりません。
まだ活性のある極板表面が残っている場所のみ電池活動が好転するだけです。
既に硫酸を添加してしまったバッテリーには、ラスロンGを入れないで下さい。
ラスロンGでサルフェーションが分解して比重が復帰しているところに、さらに硫酸で引き上げた比重が加わって、異常に高い比重になってしまいます。
このような状態にするとバッテリーを痛めてしまい、寿命を短くしてしまいます。
硫酸が入っていたことを知らずにラスロンGを添加してしまった場合は、満充電になると比重が極端に大きくなりますのでそこで異常を察知し、満充電時に電解液を適量抜き取ってから精製水を添加し、比重を1.28に合わせて下さい。
水と電解液が均一に混合するまでに多少時間がかかる他、出荷比重が1.30の場合もあるので、バッテリーに詳しい知識があるか作業慣れした方のみこの方法を行うようにして下さい。
4-4.ラスロンGの実験データ集
弊社実験データを公開しています。
バッテリー型式とラスロンG添加量の関係を示す資料も用意しましたのでお役立て下さい。